Meta-HAR: Federated Representation Learning for Human Activity Recognition
❏ 書誌情報/著者
Chenglin Li, Di Niu, Bei Jiang, Xiao Zuo, Jianming Yang
University of Alberta、Tencent所属
The Web Conference 2021 (WWW ’21) に掲載
❏ 論文の核心
人間活動認識 (HAR) におけるユーザー間のデータ異質性(活動タイプ、信号分布)に対応するため、連合型表現学習とメタ学習を組み合わせたMeta-HARフレームワークを提案、パーソナル化と新規ユーザーへの高い汎化能力を実現
❏ 主張と革新性
従来のFLがHARのデータ異質性により性能が劣化する課題を克服
共通の深層埋め込みネットワークをFLでメタ学習し、各ユーザーにパーソナル分類ネットワークを組み合わせる表現学習フレームワークを採用
ユーザーのHARタスクを個別のタスクと見なし、モデル不問型メタ学習(FedReptile)を用いて汎化可能な埋め込みネットワークを訓練
埋め込みネットワーク訓練にペアワイズ損失を使用し、データスパース性、異質性、新規アクティビティタイプへの対応力を強化
❏ 既存研究との違い
従来のFLベースHAR研究はデータ異質性やパーソナル化への対応が限定的
本研究はFL、メタ学習、表現学習を組み合わせ、特にペアワイズ損失を用いることで、データ異質性の高いHAR環境でのパーソナル化と新規ユーザーへの優れた汎化能力という課題を解決
❏ 技術・手法のポイント
FLサーバーと多数のモバイルデバイスで構成されるフレームワーク
モデルは埋め込みネットワーク(CNN+RNN/LSTM)とユーザー固有の出力層からなる
センサー信号の前処理(振幅系列、ウィンドウ分割、フーリエ変換)を実施
埋め込みネットワークを連合型Reptileアルゴリズムでメタ学習
埋め込みネットワークのローカル訓練には、サンプル間の類似度を学習するペアワイズ損失を使用
メタ学習された埋め込みネットワークに基づき、2段階のfine-tuningによりユーザー固有データでパーソナル分類モデルを適応学習
❏ どう検証しているか
公開データセット(HHAR、USC-HAD)と独自収集した大規模データセット(実環境のノイズ・異質性を反映)を使用
ユーザーをMeta-trainとMeta-testに分割し、新規ユーザーへの汎化能力を評価
集中型学習、FedAvg、FedReptile、ペアワイズ損失を用いないMeta-HARとの性能比較を実施
異なるfine-tuning戦略の効果も比較評価
評価指標として、Meta-trainユーザーとMeta-testユーザー双方での平均予測精度を使用
実験結果は、Meta-HARがデータ異質性の高い環境や新規ユーザーに対して、他の手法を大幅に上回る性能を示すことを実証
❏ 議論・今後の課題・著者自身の限界認識
Meta-HARはデータ異質性、新規ユーザーへの汎化、プライバシー保護といったHARの主要課題に対応できるフレームワーク
ペアワイズ損失とメタ学習・表現学習・パーソナル化の組み合わせが、特にデータ異質性の高いHARに有効
独自収集データセットの公開により、今後の研究開発に貢献
今後の課題として、通信効率のさらなる最適化が挙げられる
❏ 応用例/示唆
モバイルセンサーを用いた人間活動認識システムを、多様なユーザー環境で高精度かつ頑健に展開できる
GDPRなどのデータ規制下においても、大規模かつプライベートな活動データから効果的に学習を進めることが可能
各ユーザー固有の活動タイプや、同じ活動でも異なる身体動作パターン(信号分布)に対応した、高度にパーソナル化されたHARモデルを構築
システム利用開始時の新規ユーザーや、過去に経験のない新しい活動パターンに対しても、少ないローカルデータでの適応学習により高い認識精度を提供
ユーザーデバイス上のデータが少ない場合でも、グローバルな表現学習により効率的なパーソナルモデル学習を実現